
【家族】・・・夫婦の配偶関係や親子・兄弟などの血縁関係によって結ばれた親族関係を基礎にして成立する小集団。社会構成の基本単位。(広辞苑第五版、岩波書店より)
本多孝好の新作「at Home」はそんな「家族」にまつわる四つの物語から構成されている。「家族」の辞書が示す意味は上記の通りだが、実際は人の数だけ複雑な家庭事情があり、様々な家族の形が存在する。片親だったり、兄弟だけだったり、飼い猫を家族と見做して迎え入れる家も多いだろう。表題作「at Home」は、実際には血の繋がりのない他人同士が集まって「家族」を形成し、生活している。それでも、「母親」を傷付けた相手を許すわけにはいかない、と足掻く、「息子」の姿が印象的なストーリーだ。血の繋がりが、血縁が家族だというのなら、こんなにも慈しみ合う彼らは一体何だと言うんだろう。「息子」の為に地べたに這い蹲って泥水を舐める男を、「父親」と呼ばずして何と呼ぶのだろう。
2009年度人口動態総覧の年次推移(厚生労働省発表)を見てみると、離婚件数は25万件。ピークの2002年の約29万件に比べれば下がりつつあるが、それでも20年前に比べると約10万組増加している。また同年の児童虐待相談件数も過去最多の約4万4千件となっており、死亡事例は64件(67名)となっている。(厚生労働省発表)この離婚率と児童相談所への相談件数の増加がどう関わっているのか、今の私に証明する術はないが、無関係とも言いきれない気がする。
何にせよ許せないのは、無抵抗で小さいこどもを、例え殴られていようとも親を庇おうとするこどもを、殴る、蹴る、放置するの仕打ちで傷付ける事だ。放っておいてもいつか受けた傷は治るかもしれない、だが、一番身近で守ってくれる筈の人間に受けた仕打ちは、彼らに一生付き纏ってくる。
血の繋がりがなくても「家族」としてやっていく人々もいれば、血縁で殺し合う人々もいる。家族の定義は本当にまちまちで、人の数ほど「家族」の形があるのかもしれない。血縁だけでは「家族」にはなれない様にも思う。虐待の話にも通じるが、産むだけでは母親にはなれない。育てなければ、それは母親とは呼べないと思う。
ま、一通り暗い所まで落とされても、ハッピーエンドで終わらせてくれる、そんな本多作品だから安心して読めるんだけどね。
四つの作品に込められたそれぞれの「家族」の形。あなたの思い描く「家族」の形はどんな形?
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