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2011/12/17

きっと何者にもなれない私たち





輪るピングドラムが佳境に入り、残すところあと一話となった。

正直観始めた頃はぶっ飛び過ぎていて、なんだこの意味不明なアニメは…という感じだったが、2クール目に突入してからの怒涛の展開に毎週肝を冷やされっぱなしだ。



輪るピングドラムは双子の兄弟である高倉冠葉と高倉晶馬が、病気によって余命わずかの妹の陽毬を救う為に奔走する物語だ。第一話目で兄弟は妹の願いに応え、自分たちにとって想い出の場所である水族館へと出かける。だがそこで陽毬は倒れ、搬送先の病院で息絶えてしまう。覚悟していたこととは言え、ただ悲嘆に暮れるばかりの兄弟だったが、彼らの目の前で突然、水族館で買ったペンギン型の帽子を被った姿で「生存戦略!」の掛け声と共に陽毬は蘇生する。ペンギン帽子を被っている間に限っては、陽毬であって陽毬でなく、別人格「プリンセス・オブ・ザ・クリスタル」に変わるという正に超展開。これだけ聞くとトンデモ設定の謎アニメっぽい。陽毬を助けたければ、ピングドラムを手に入れろと兄弟に命じるプリンセス(通称:プリクリ)。彼らに添い従う3羽のペンギンを与えられた兄弟は、プリンセスからの指令で女子高校生・荻野目苹果の調査を開始するが、それは過去にも繋がるTSM荻窪線沿線で起きる様々な事件の始まりとなった。(参考:Wikipedia



彼らの世界では捨てられたこどもが集められる「こどもブロイラー」というものが存在するのだが、それがまたなんとも薄ら寒いものだ。親から「選ばれなかった」こどもたちが集められ、透明な存在にされる。透明という言葉が果たして肉体的な消滅、つまり殺されることを指すのか、それとも精神的な何かの隠喩なのかは明らかにはされていないが、中には「赤ちゃんポスト」が元ネタではないかと推察するファンもいる。その正体が何であれ、いらないこどもが集められて何らかの形で社会的に抹消されていることは確かだろう。

物語の終盤で、高倉家の三人の兄妹たちが実は赤の他人同士で、ちぐはぐの家族ごっこを送っていた事が明かされる。実の父親に選ばれなかった冠馬、そして陽毬…。晶馬の過去は明らかになっていないが、きっと彼も「選ばれなかった」こどもに違いない。

陽毬に取り憑いたプリンセス・オブ・ザ・クリスタルが、しきりに作中で「きっと何者にもなれないお前たちに告げる!」と口にするシーンが登場する。「何者にもなれない」という事はきっと、誰からも「選ばれなかった」事に関係しているのではないかと思う。多くの心理学者は自己評価の原点に家族を挙げる。こどもは他者による自己承認を通して成長発達していくものだ、と。その原点である家族、つまり親に選ばれなかった彼らは、どうやって自己を証明していくのか。成長していくのか。



「運命」という言葉や、「銀河鉄道の夜」のメタファー、そしてテロ。気になるキーワードが多数ちりばめられた作品だが、私はやはり彼を「選ばれなかった人間」という観点から見つめてしまう。血縁関係のない家族の行方が気になって仕方がないのは、それこそ作品への自己投影なのだろうけれど、だからこそ余計に彼らの幸せを願って止まない。

ラスト1話、ひやひやしながら一週間を過ごすことになりそうだ。





2010/11/09

time of eve

「イヴの時間 劇場版」 [Blu-ray]











イヴの時間 Are you enjoying the time of EVE ?
インターネット上で15分の短編、全6シリーズとして公開されてニコニコ動画でも話題になってたイヴの時間。3月に公開された劇場版を観たんだけど、追加シーンも加えられてなかなか続きが気になるううううといった感じ。


「未来、たぶん日本。“ロボット”が実用化されて久しく、“人間型ロボット”が実用化されて間もない時代。」
主人公のリクオくんもサミィという女性型ハウスロイドを持ってるんだけど、どうも最近様子がおかしい・・・と思ったら命令にない行動をしている様子。行動記録を元に調べて見たらどうやら「イヴの時間」という場所に行ってる・・・というところから物語は始まる。そこは「人間とロボットを区別しない」というルールが適応されている喫茶店。作中ではロボットと人間を区別する手段としてアンドロイドの頭上にホログラムの輪っかが表示されているんだけど、勿論アンドロイドはその表示をオフにしている。勿論それはロボット法的にはまずい感じ。


人間とロボットが限りなく近い状態で生活していて、中にはロボットに感情移入し過ぎて「ドリ系」って言われる人間たちも登場する。今の二次元やアイドルに陶酔する私を含めたオタク層が、何でも自分の言う事を聞いて守ってくれるロボットにハマっちゃって恋愛感情抱いたり・・・まあ普通は「きもーい」って声が聞こえてきそうだけど、なかなか各エピソードいい話が盛り込まれている。

人間とロボットの境界ってなんだろう?
主人公のリクオがピアニストとして苦悩するシーンがある。小さい頃からピアノを頑張ってきた自分とを横目にロボットは正確且つ素晴らしい演奏をする。それこそ、人間以上に。いつしか追い越される事が怖くなってリクオはピアノから離れたけど、まあ実際に有り得そうな話。今だって自動演奏のピアノがあるくらいで、ピアノを弾く事を専門にするロボットが主流になってもおかしくない世界がすぐそこまで来ているかもしれない。そうなった時に人間の芸術的価値は?DTMだって人間がパソコンを触っていじくって音楽を作るわけだけど、そこの行程が省かれてしまう時代が来るかもしれないよね。ボーカロイドだってある位で、人間には実質発声が不可能な音域だって表現出来るようになっている。曲を作って、歌わせるのは人間かもしれないけど、いつその指示を可能にする人工知能が現れるとも限らない。
まあ技術的な面はおいておいて、本作のテーマはきっとロボット(アンドロイド)と人間の感情的な問題だと思う。攻殻機動隊でも、AIを搭載したタチコマが自我に目覚めて行く・・・という事があったけど、いつかロボットにも感情、ゴーストが宿る日が来ちゃうかも・・・なんて。夢の様な話で、技術の発展は素晴らしい事だけど、考え様によってはちょっと怖いかもしれない。

ただ今、一つだけ言えるのはモノは大事に扱わないといけないよね。その対象に感情の有無は別としても、モノを大切に出来ない人は人間も大事に出来ないと思うから。なんて、携帯電話を落としまくってる私が言うのもアレだけど。
"Are you enjoying the time of EVE?"
例えばあなたの使ってる携帯電話に感情があったら、知りたいと思う?
上記の通り滅茶苦茶な扱いしてるから、すんごい悪口言われてそうで、私はちょっと怖いかも。