輪るピングドラムが佳境に入り、残すところあと一話となった。
正直観始めた頃はぶっ飛び過ぎていて、なんだこの意味不明なアニメは…という感じだったが、2クール目に突入してからの怒涛の展開に毎週肝を冷やされっぱなしだ。
輪るピングドラムは双子の兄弟である高倉冠葉と高倉晶馬が、病気によって余命わずかの妹の陽毬を救う為に奔走する物語だ。第一話目で兄弟は妹の願いに応え、自分たちにとって想い出の場所である水族館へと出かける。だがそこで陽毬は倒れ、搬送先の病院で息絶えてしまう。覚悟していたこととは言え、ただ悲嘆に暮れるばかりの兄弟だったが、彼らの目の前で突然、水族館で買ったペンギン型の帽子を被った姿で「生存戦略!」の掛け声と共に陽毬は蘇生する。ペンギン帽子を被っている間に限っては、陽毬であって陽毬でなく、別人格「プリンセス・オブ・ザ・クリスタル」に変わるという正に超展開。これだけ聞くとトンデモ設定の謎アニメっぽい。陽毬を助けたければ、ピングドラムを手に入れろと兄弟に命じるプリンセス(通称:プリクリ)。彼らに添い従う3羽のペンギンを与えられた兄弟は、プリンセスからの指令で女子高校生・荻野目苹果の調査を開始するが、それは過去にも繋がるTSM荻窪線沿線で起きる様々な事件の始まりとなった。(参考:Wikipedia)
彼らの世界では捨てられたこどもが集められる「こどもブロイラー」というものが存在するのだが、それがまたなんとも薄ら寒いものだ。親から「選ばれなかった」こどもたちが集められ、透明な存在にされる。透明という言葉が果たして肉体的な消滅、つまり殺されることを指すのか、それとも精神的な何かの隠喩なのかは明らかにはされていないが、中には「赤ちゃんポスト」が元ネタではないかと推察するファンもいる。その正体が何であれ、いらないこどもが集められて何らかの形で社会的に抹消されていることは確かだろう。
物語の終盤で、高倉家の三人の兄妹たちが実は赤の他人同士で、ちぐはぐの家族ごっこを送っていた事が明かされる。実の父親に選ばれなかった冠馬、そして陽毬…。晶馬の過去は明らかになっていないが、きっと彼も「選ばれなかった」こどもに違いない。
陽毬に取り憑いたプリンセス・オブ・ザ・クリスタルが、しきりに作中で「きっと何者にもなれないお前たちに告げる!」と口にするシーンが登場する。「何者にもなれない」という事はきっと、誰からも「選ばれなかった」事に関係しているのではないかと思う。多くの心理学者は自己評価の原点に家族を挙げる。こどもは他者による自己承認を通して成長発達していくものだ、と。その原点である家族、つまり親に選ばれなかった彼らは、どうやって自己を証明していくのか。成長していくのか。
「運命」という言葉や、「銀河鉄道の夜」のメタファー、そしてテロ。気になるキーワードが多数ちりばめられた作品だが、私はやはり彼を「選ばれなかった人間」という観点から見つめてしまう。血縁関係のない家族の行方が気になって仕方がないのは、それこそ作品への自己投影なのだろうけれど、だからこそ余計に彼らの幸せを願って止まない。
ラスト1話、ひやひやしながら一週間を過ごすことになりそうだ。
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